北朝鮮が核兵器を放棄しない理由
北朝鮮は核兵器を絶対に放棄しないと思います。そもそも、北朝鮮が米国に対して意見を主張することが、今まで可能だったのは、北朝鮮軍が、38度線付近に軍隊のほとんどを待機させ、何かあればすぐにソウルへ総攻撃を仕掛けるという体制をとってきたからです。クリントン政権時に米国は北朝鮮に攻撃をするというシミュレーションをしていますが、北朝鮮が、ソウルへ総攻撃すれば韓国の国民と米軍に甚大な被害が出るとの試算でました。その結果、クリントン政権は北朝鮮の懐柔政策に走ったのです。
ただ、近年北朝鮮軍の老朽化が激しいために、金正日は自らの安全を確保するために核兵器を開発したのです。いわば、核兵器は老朽化する北朝鮮軍の代替です。ですから、北朝鮮にとって、核兵器は絶対に手放すことのできない、安全保障です。もし、核兵器がなくなれば、米国の圧力に対抗できなくなることは目に見えているからです。以上のことから、すくなくとも北朝鮮が現状の体制である限りは、核兵器の放棄はありえないという前提を持つ必要があるでしょう。
- 作者: 古田博司
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2005/10/20
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