30代経営者修行中ブログ

顧客、従業員、家族から必要とされる事業、そして自分が納得できる事業を創ることを目標としています。

不当利得 特殊な不当利得

(1)非債弁済
債務が存在しないのに弁済として給付を行った場合を非債弁済という。通常の善意の弁済者の場合は不当利得として扱われ、非債弁済は返してもらえる。但し、弁済者が悪意の場合は不当利得とならない。

(2)期限前弁済
弁済期より早く弁済してい待った場合。善意の場合であっても、返還請求はできないが、利息相当額は返還される。ただし、悪意の場合は利息相当額も返還されない。

(3)他人の債務の弁済
三者の債務を自分の債務として返済してしまった場合。原則として返還請求可能。ただし、債権者が弁済を受け取った後、証書を破棄したり、担保を放棄する。または、時効になってしまった場合等は、債権者に返還請求することはできない。
 この場合、第三者は、債務者に求償することができる。

(4)不法原因給付
(不法原因給付)
第708条 不法な原因のために給付をした者は、その給付したものの返還を請求することができない。ただし、不法な原因が受益者についてのみ存したときは、この限りでない。

 給付行為が不法な原因に基づいて行われたために、その原因行為が無効だとなると、本来は不当利得であるはずである。しかし、返還請求を認めると正義に反するという場合は、例外的に返還請求を認めない。これが、不法原因給付である。
 ex愛人契約として不動産を贈与した場合。この場合、公序良俗違反として、贈与契約は無効となる。それによって、本来であれば、不動産は不当利得として返還請求が可能となる。
 しかし、これはクリーンハンズの原則に反するので、手の汚れた贈与者は不当利得返還請求が例外的にできなくなる。
不法原因給付の要件

  • 公序良俗違反 単なる強行規定よりも厳しい。
  • 給付行為  きっちりとした給付。そこまで渡すと、もう帰ってこないという給付。不動産でいえば、登記名義を移転して初めて給付されたことになる。また、法務局が認識していない、誰も登記することのできない不動産であれば、占有することで給付されたこととなる。

不法原因給付と所有権
708条をそのまま解釈すると、不法原因給付というのは、不当利得返還請求権という債権の世界での主張ができなくなるものだということになる。そこで、債権ではなく、所有権に基づく物権の世界で不動産を取り戻せると考えることもできる。
しかし、それでは708条の意味がなくなってしまうので、708条の反射的効果として、所有権自体も移転してしまうこととする。つまり、所有権自体が愛人のほうに移転してしまうと解される。